「クラスの信頼関係を高めるレクを知りたい」
「みんなで協力する体験や活動をさせたい」
「安定した学級経営のためのヒントが欲しい」
そんな思いをお持ちの教員のみなさんにおすすめなのが、僕も毎年クラス経営に取り入れている「プロジェクトアドベンチャー(PA)」です。
学生の時にPAや冒険教育に出会って、僕の人生は変わりました。自然の中での冒険(登山、沢登り等)は非常に素晴らしい体験になりますが、費用や時間がかかり危険も伴います。
そんなアドベンチャーの持つ力を「大自然に出かけていかなくても活用できる」ようにしたのがPAです。アクティビティを通じて、子供たちの信頼関係を築き上げていきます。学校や教室でできるものも多いですよ。
「プロジェクトアドベンチャーって何?」という方もご安心ください!今回は、PAとは何か、その効果やおすすめのアクティビティ、関連書籍等について紹介していきます!ぜひ学級経営に取り入れてみてくださいね。
こんにちは。小学校教員のサンソンです。このブログでは、小中学校の教員、大学生、保育士、レク係の子供たち等に向けて、レクリエーションの発信をしています。
今回のテーマは「協力することを楽しむ」です。活動を通して子供たちの信頼関係を高め、よりよい学級経営につなげていきましょう!
「協力型」のレクはこちらにもまとまっています。合わせてご覧いただけたらと思います。
プロジェクトアドベンチャーとは
プロジェクトアドベンチャー(PA)は、冒険教育(アドベンチャー体験)から学ぶ、アクティブラーニングプログラムです。
クライミング、ロープコースなどのアクティビティを行うことで、コミュニケーションスキルや自己肯定感の向上、問題解決能力の強化などの効果が期待されます。
詳しい解説は、プロジェクトアドベンチャージャパン(PAJ)という組織がありますので、そちらをご覧いただけたらと思います。
このプロジェクトアドベンチャーにはたくさんのアクティビティがありますが、専用の施設に行かなくても、学校の教室や体育館でできるものも多いです。
今回は、そんな学校でできるアクティビティの中から、僕が実際に行ってやりやすかったもの、効果があったもの、子供の反応がよかったものを5つ紹介します!!ぜひ学級経営に取り入れてみてください!!
パイプライン
対象:低学年~ 人数:10人ぐらい~ 場所:体育館など 時間:20分~30分 準備:パイプ人数分(なければA4サイズの紙を丸めてもできる)、ビー玉、バケツ
概要:パイプをつなげてビー玉を流しそうめんのように流し、ゴールのバケツに入れられればクリアというゲームです。
活動の流れ
①10人ほどのグループに分けます。一人に一本のパイプと、グループに一つのビー玉を配ります。スタートラインを決め、そこから人数×1mほど離れたところにバケツを置きます。
②ルール
・スタートした後はビー玉には直接さわれません。
・ビー玉が乗っているパイプを持っている人は、歩けません。
・落としたら初めからやり直しです。
③流しそうめんのようにパイプをつなげてビー玉を転がし、バケツに入れられればクリア!!
ポイント
並んだだけではゴールまで届かないので、一度ビー玉を流した人が列の後ろに並びなおす必要があります。簡単そうに聞こえますが、みんなで声をかけ協力しないとすぐに落としてしまいます。「チームの協力」「作戦」「コミュニケーション」が必要なゲームです。
詳しくはこちらからどうぞ。ストーリー設定や用具準備のしかたなどについても解説しています。
トラスト・トンネル
対象:小学校中学年~ 人数:10人ぐらい~何人でもOK 場所:体育館など 時間:15分~30分 準備:特になし
概要:仲間が腕を上げてくれることを信じて、通せんぼ状態の列に向かって歩きます。目を閉じずに歩くことができますか?
活動の流れ
①全員でトンネルをつくります。
・全員で2列に並び、互いに向かい合います。
・両腕をまっすぐ前にあげます。前の人の手首に自分の指先がくるくらいのところでそろえます。
・手の高さは、やる人の目の高さに合わせてください。これがポイントです。
②チャレンジャーが列の間を、しっかり目を空けて歩いて通り抜けます。並んでいる人は、チャレンジャーがぶつかるかぶつからないかのところまで来たら素早く腕を上げます。通り過ぎたら、また素早く腕を下げます。
・最初は教師がチャレンジして、動きの確認をするとよいでしょう。離れて見ると、チャレンジャーの頭にあわせて小さい波がす-っと流れているように見えます。
・安全のため、以下のやり取りをして、確認ができてからスタートするようにします。
チャレンジャー「準備はいいですか?」
みんな 「いいです。」
チャレンジャー「歩きます。」
みんな 「どうぞ。」
③子供たちがチャレンジします。
・挑戦したい人から立候補して、順番に行います。全員に「やるかやらないか」を聞くようにします。「怖いからやらない」ことも認めます。それは「友達を信じていないから」というわけではないことも、事前に確認しておきます。
ポイント
・「トラスト」は、「信頼」という意味です。ふざけて、わざと顔に当てたりすることがないよう、事前にしっかり確認します。目的は「信頼構築」であること、信頼しているからこそ、目を開けて歩いてこれることを、必ず確認しておきます。
・「歩きます」のほかに、「走ります」「スキップします」などでもできます。
・終了後の振り返りがとても大切になります。
魔法のじゅうたん
対象:小学校中学年~ 人数:1グループ10人程度 場所:教室、体育館など 時間:30分~45分 準備:レジャーシートやブルーシートをグループ数分
概要:自分たちが乗っている布を、全員が乗ったままひっくり返すというアクティビティです。
活動の流れ
①グループ全員で布(レジャーシートなど)に乗ります。全員乗って、1/3ぐらい隙間ができるような大きさがベストです。(布の大きさに合わせて、人数を調整しましょう。)
②ルールの説明をします。(ファンタジー要素を入れ、ストーリー仕立てで話すとGood!)
③全員が乗ったまま、布をひっくり返すことに挑戦します!
④制限時間内(15分~20分)にひっくり返せればチャレンジ成功です。
ポイント
・自然とお互いに支えあいながらの活動になり、身体接触が高くなります。ですので、まだ信頼関係ができていない初対面のクラスなどには、別のアクティビティをおすすめします。
・「ほかの人と身体が触れ合うのは嫌」という子もいるかもしれません。大切なのは心の安心・安全。「チャレンジしない」という選択も認めます(チャレンジバイチョイス)。その際は、まったく参加しないのではなく、外からアドバイスを送るなどの方法で参加してもらうようにします。(身体接触を伴わない協力型レクもたくさんあります。そちらに変更してもよいでしょう)
・ゲーム終了後の振り返りがとても大切になります。グループ→クラス全員で話してもよいですし、個人で振り返り用紙に書いてから全体に発表するのでもよいです。
・レジャーシートを新聞紙などに変えてやってもOKです。(もちろんやぶれれば、じゅうたんは小さくなります)
ワープスピード
対象:小学校中学年~ 人数:1グループ7~10人 場所:教室 時間:20分~25分 準備:柔らかいボールやぬいぐるみをグループに1個
概要:グループで決まった順番でボールをパスし合い、なるべく短い時間でボールを一周させるゲームです。
活動の流れ
①グループで輪になって、1人がボール(ぬいぐるみ等でもOK)を持ちます。
②同じ人に2回渡さないようにパスを回していきます。(誰に渡したか覚えておきましょう)
③1周したら最初の人に返します。その後、順番の確認します
(その時、タイムを測っておきましょう)
④回す順番を変えずに、どれだけタイムを早くできるかチャレンジします!
ポイント
・チャレンジするたびにタイムを計り、グループごとに黒板などに書いておきましょう。タイムがどんどん短くなるのを可視化します。他のグループへの刺激にもなりますね
・最初は10秒くらいかかっていたのが、パス回しが早くなると3秒ほどになるでしょう。でも、実はそこからが勝負です。子供に何を聞かれても「回す順番は変えない」「落とさない」とだけ伝えましょう。
・「並び方を変えてもいいんじゃない?」「もしかして投げなくてもいいんじゃない?」そこに気づけると、色々なアイデアが出てきます。チームで話し合い、色々なアイデアでトライ&エラーを繰り返すと、最終的に1秒を切ってくるチームも出てくるんです!まさに「ワープ」。(ただし、最初の人が持ったままで次々とみんなで触るというのはナシにしています。パスしてないですから。そこは臨機応変に認めてもいいかもしれません。)
・はじめの記録と比較して、「こんなに早くなると思った?」「どうしてこんなに記録が伸びたの?」と振り返りをしてみましょう。
・僕が子供達とやった時に出たアイデアとしては、「手のひらをつなげて、転がす作戦」「両手でお皿を作ったものを上下につなげ、落としていく作戦」「人差し指だけをつなげて転がす作戦」などが出ました。みなさんのクラスではどんなアイデアが出てくるでしょうか?
ヘリウムリング
対象:小学校中学年~ 人数:1グループ7~10人 場所:教室、体育館 時間:15分~25分 準備:フラフープをグループに1個
概要:全員の人差し指にフラフープをのせ、誰の指からも離れないようにしながら床まで降ろすゲームです
活動の流れ
①10人ぐらいまでのグループに1本のフラフープを用意します。全員で輪になります。
②全員、腰の高さに人差し指を出します(手の平が下になるように)その上にフラフープを乗せます
③誰の指からもフープが離れないようにしながら、床に下ろせれば成功です!ただし一人でも指から離れたら自己申告してアウト!初めからやり直しです。
上級アレンジルール
②と③のあいだに、「一度腰の高さから、目の高さまでフラフープを上げる」というのを加えます。これを入れることによって、より集中と協力が必要になります!
ポイント
・読んでいると簡単そうに思えますよね?でもやってみるとあら不思議。フラフープがどんどん上がっていってしまうんです。息が合っていないとフラフープがななめに傾き、でも指は離せないので上がっていくんです。本当にヘリウムが入っているみたいに。ぜひその目で確かめてみてください。
・グループみんなで息を合わせて、水平を保ったまま降ろしていくことがコツです。フープは大きい(重い)ほうが、人数は少ない方が簡単になります。ジョイント式などの軽いものは高難度です。
・以前、冗談半分で「昨夜のうちにフラフープの中にヘリウムガスをいれておきました。だから油断するとどんどん浮いていってしまいますよ」と話してから始めたら、信じてしまう子が続出しました(笑)
・目的は「協力することを楽しむ」こと。これを事前に確認しておき、振り返りの視点にしましょう。「ドンマイ」「大丈夫」などの声かけができていたか、友達を責めてしまっていないか。どんな作戦、話し合いがあったのか。やっていてどんなことを考えていたのかなど。
関連書籍の紹介
「楽しみながら信頼関係を築くゲーム集 (プロジェクトアドベンチャーでクラスづくり)」
僕がPAの世界に入ったとき、一番最初に読んだ本がこれです。実際の活動例が多数載っています。「レクで学級をHappyに」というモットーは、このPAを体験したり学んだりしたことから生まれました。
「クラス全員がひとつになる学級ゲーム&アクティビティ100」
イラストが豊富で見やすいですし、めあてや振り返りの視点、方法などについても分かりやすく解説してくれています。Kindle版もあります。
みんなのPA系ゲーム243
一つ一つのアクティビティの説明は簡潔で、文字だけで説明しているものも多いですが、圧倒的な紹介数が魅力の一冊です。僕はこの本のレクは8割ぐらいはやりました。
対立がちからに : プロジェクトアドベンチャーの実践
こちらはPAに慣れてきた方向け。定価は4000円!!マニアックな活動まで網羅しています。初心者にはおすすめしません(笑)