コンセンサスとは「合意」のことです。このゲームは、グループで話し合いながら「全員が納得できる答え」をつくり上げることを目的とした活動です。自分の価値観とほかの人の価値観が違っていることに気づき、どう対応していくのかを学ぶ機会になります。
多数決で決めるのではなく、一人ひとりの意見を丁寧に聞き合い、価値観の違いを受け止めながら結論に近づいていくプロセスが最大の学びになります。
学級の人数に合わせてチームを組むだけで始められ、特別な準備もほとんど必要ありません。話し合いが苦手な子も、役割をもつことで自然と参加しやすくなります。
意見がぶつかることもありますが、それこそがこのゲームの醍醐味。自分とは違う考え方に触れ、「どうしたら全員が納得できるだろう?」と考える経験は、日常の話し合いや学級生活にもつながっていきます。今回は、代表的なテーマである「NASAゲーム」を紹介します。

こんにちは。小学校教員のサンソンです。このブログでは、小中学校の教員/大学生/保育士/レク係の子供たち/等に向けて、学級で楽しく遊べるレクリエーションを紹介をしています。
ゲームの流れ
人数:何人でもOK
場所:教室
時間:45分
準備:ワークシート、シナリオと模範解答
NASAゲームは、個人で考えた優先順位を持ち寄り、グループで話し合いながら「全員が納得できる最終順位」をつくっていく、コンセンサスゲームの代表的なテーマです。
設定は、宇宙船の故障により月面の母船から約300km離れた場所に不時着した宇宙飛行士。手元に残った15個のアイテムに優先順位をつけ、「生き残るために何が最も重要か」をグループで相談しながら決めていきます。 人数やメンバー構成によって話し合いの雰囲気が変わるのも、このゲームの面白さです。
① シナリオを読む
あなたたちは宇宙船に乗って月面に着陸しようとしている宇宙飛行士です。
ところが機械の故障で、母船から約300km離れた場所に不時着してしまいました。宇宙船は壊れてしまい、使えそうなものは15個のアイテムだけ。
この15アイテムの中で「生き残るために必要なもの」を1〜15位まで順位づけしてください。
※この問題には、NASAが科学的に導き出した模範解答があります。
アイテム一覧
- パラシュート
- 携帯用ソーラーヒーター
- マッチ
- 宇宙食
- 15mのナイロンロープ
- 45口径ピストル×2
- 粉ミルク
- 酸素ボンベ×2
- 月面用星座表
- 自動膨張式救命ボート
- 方位磁石
- 水19リットル
- 照明弾
- 救急箱(注射器入り)
- 太陽電池式FM送受信機
② 個人で順位をつける(5分)
まずは一人で静かに考えます。自分の価値観を整理する時間です。
③ グループで話し合う(20分)
- 4人グループがベスト。 多数決・ジャンケンは禁止。 全員が納得するまで話し合い、1つの順位表を完成させます。
- 反対意見もすぐに否定しないようにします。
- 理由を言葉にして伝えましょう。
- 相手の考えを聞く姿勢を大切にしましょう。このプロセスこそが学びの中心です。
④ 結果発表(10分)
NASAの順位(後述)を提示し、 「個人の順位」「グループの順位」との差を記入します。
- 模範解答10位
- グループ6位 → 誤差は4
誤差の合計が少ないほど高得点。
⑤ 振り返り(5分)
- どんな話し合いができたか
- どんな工夫があったか
- どんな場面で意見がぶつかったか
- どうやって合意に近づいたか
ここで“合意形成の価値”を言語化すると、学級活動に生きてきます。
NASAによる模範解答とワークシート
NASAの回答による順位と理由
① 酸素ボンベ(生きる上で絶対に必要。重力が小さいので重さは気にならない)
② 水(昼の月面は110℃にもなり、大量の水分が失われる)
③ 星座図(母船の場所など、進むべき方向を確かめる)
④ 宇宙食(エネルギーを補給するため。水よりは我慢できる)
⑤ FM送受信機(母船と通信できる。ただし近距離でしか使えない)
⑥ ロープ(崖の上り下りや命綱などに使える)
⑦ 救急箱(ビタミン剤や薬を摂取できる)
⑧ パラシュートの布(太陽光を遮断するのに使える)
⑨ 救命ボート(炭酸ガスボンベが推進力として使えるかもしれない)
⑩ 信号弾(母船が見えたときに遭難信号を送れるが、送受信機の方が確実)
⑪ ピストル(発射の反動を推進力に使えるかもしれない。)
⑫ 粉ミルク(エネルギーになるが、水が必要になるので宇宙食の方がよい)
⑬ 暖房機(昼間は必要ない) ⑭方位磁石(月には磁場がないので役に立たない)
⑮ マッチ(酸素がないので役に立たない)
ワークシート
こちらにアクセスして、ダウンロードしてください。
※スプレッドシートで開くとズレが生じますが、「ダウンロード」してExcelで開けばOKです。

会話例

まずは一人で順位をつけてみたね。ではグループで話し合ってみよう。自分の考えも、他の人の考えもどちらも大切にしてね。

1位は酸素ボンベにしたよ。生きるために必要だと思う。

水も大事じゃない?何日もかかるかもしれないし

そうだね。でも水よりは酸素の方が大事だから、1位と2位にしようか。

いいと思う。15位の方は?ピストルなんかいらなくない?月には猛獣とかいないし。

仲間割れになった時に怖いしね。

怖いこと言わないで~。みんなで助かろうよ!!じゃあピストルは15位でいい?

それよりマッチの方が使い道ないんじゃない?宇宙じゃ火はつかないし。

いい話し合いができてますね。その調子です
ポイント
このゲームでは正しい答えを導き出すことができたかどうかではなく、グループの中で合意を得ながら話し合いを進めていけたかどうかを評価します。みんなが納得して答えを決められたグループは、個人の成績よりグループの成績がよい傾向になります。それは、ゲームだけでなく日々の生活でも同じことが言えるのだと伝えていきましょう。
・分かりにくいアイテムや基礎知識は解説しておく
FM送受信機や自動膨張式救命ボートなど、子供が読んだだけではピンとこないアイテムもあります。どんな用途なのか、どのような仕組みなのかを話しておくとよいでしょう。また、宇宙空間には空気がないこと、重力は地球の1/6だということ等、月面における基礎知識も確認しておきましょう。(火が燃えるには酸素が必要ということは小6、月の重力については中1の学習です。)
・「合意形成」を目的にする
正解よりも、納得するまで話し合うプロセスを重視しましょう。
・反対意見をすぐに否定しない
「なるほど、そういう考えもあるね」と受け止める姿勢を育てましょう。
・対立は悪ではない
価値観の違いに気づき、どう対応するかを考える機会になります。
・振り返りで生活へのつながりを示す
「話し合いで納得できると、日常でもうまくいくことが多いよね」と伝えましょう。
おススメ記事 ~安定した学級経営を目指そう~
ここまで読んでくださりありがとうございました。今後も、みんなが笑顔になれるようなレクの発信をしていきたいと思います。


